クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
やっぱり、もっとシックな色合いにすべきだったかなあ……。
職業柄、観察眼の鋭い拓哉さんは、私がなにを思って表情を曇らせたか、ピンと来たようだ。
「とても似合ってるよ」
そう言って、にっこり笑う。
「男はブラックスーツだしね。奎吾さんの隣に立てば、可憐な華になること間違いなし」
「お前は相変わらず口ばかり達者だな」
先ほどの彼の嫌みは聞こえなかったかスルーしたか……長老が呆れ口調で挟んできた。
「凛花、いいか。お前はこういう口先だけの男に、誑かされてはいかんぞ」
「祖父ちゃん、大丈夫だよ。奎吾さんの奥様になった凛花ちゃんを誑かそうなんて、命知らずはいないだろうし」
いくら孫でも、偉大な長老相手に礼儀知らずとも言える砕けた言葉遣いに、私はハラハラしてしまうけど、
「なに? 奎吾?」
長老は『ほ』と口を丸くして、目から鱗といった顔をした。
「凛花。お前、梗平じゃなく奎吾の嫁になったのか!」
去年の結婚式でも、その後のお披露目会でもちゃんと奎吾さんと二人で挨拶したのに、心底驚いた顔に、もはや微笑むしかない。
「はい。私、奎吾さんと……」
「凛花、そんな一生懸命説明しなくていい」
改めて長老に説明しようとする私の肩を、後ろから誰かが掴んで止めた。
私が振り返るより先に、拓哉さんの視線が動く。
職業柄、観察眼の鋭い拓哉さんは、私がなにを思って表情を曇らせたか、ピンと来たようだ。
「とても似合ってるよ」
そう言って、にっこり笑う。
「男はブラックスーツだしね。奎吾さんの隣に立てば、可憐な華になること間違いなし」
「お前は相変わらず口ばかり達者だな」
先ほどの彼の嫌みは聞こえなかったかスルーしたか……長老が呆れ口調で挟んできた。
「凛花、いいか。お前はこういう口先だけの男に、誑かされてはいかんぞ」
「祖父ちゃん、大丈夫だよ。奎吾さんの奥様になった凛花ちゃんを誑かそうなんて、命知らずはいないだろうし」
いくら孫でも、偉大な長老相手に礼儀知らずとも言える砕けた言葉遣いに、私はハラハラしてしまうけど、
「なに? 奎吾?」
長老は『ほ』と口を丸くして、目から鱗といった顔をした。
「凛花。お前、梗平じゃなく奎吾の嫁になったのか!」
去年の結婚式でも、その後のお披露目会でもちゃんと奎吾さんと二人で挨拶したのに、心底驚いた顔に、もはや微笑むしかない。
「はい。私、奎吾さんと……」
「凛花、そんな一生懸命説明しなくていい」
改めて長老に説明しようとする私の肩を、後ろから誰かが掴んで止めた。
私が振り返るより先に、拓哉さんの視線が動く。