クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
だけど、なんの制止にもならず。


「しかも、中西先生!」


彼女は、中西先生の方に一歩踏み出した。


「先生がつい昨日、泥沼離婚調停で攻めの方向性確定できたのは、凛花ちゃんのおかげじゃ……」

「ご迷惑おかけします、じゃなくて。相談してもらえれば、僕たちは惜しみなく協力するよ」


菜々子さんに食ってかかられ、タジタジする中西先生に代わって、東雲先生が言葉を挟んだ。


「え?」


戸惑う私に、目尻を下げて微笑む。


「僕たちは法律の専門家。警察から無実の参考人を守るのも、弁護士の職務だ。でも、相談してもらえなければ状況がわからないし、首を突っ込むこともできない」

「そうそう」


中西先生も気を取り直し、ネクタイを直しながら背筋を伸ばした。


「弁護士には守秘義務がある。だから、警視庁が内密に捜査している事件だとしても、瀬名さんが無実を主張するためなら、俺たちに話す権利がある」

「権利……」

「我々が、瀬名さんの無実を晴らす力になりましょう、ということですよ」


当惑して反芻する私に、二人の先生の意見をまとめてくれたのは、所長だった。
< 134 / 213 >

この作品をシェア

pagetop