クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
用紙に書かれた概要を諳んじる彼を見上げる。
「工学部卒で、事務職?」
俺がなにを質問するか読んでいたのか、古谷は「はい」と胸を張って返事をした。
「こう言っちゃなんですが、かなり不真面目な男のようで。卒業しても就職先が決まらず、見かねた叔父に拾われた……と推察します」
「……なるほど」
凛花の親族のくせに、随分とちゃらんぽらんな男だな……と、俺はやや鼻白んだ気分で相槌を打つ。
「藤崎六郎には子供がいませんから、唯一の甥っ子ということで、昔から可愛がっていたようです。甘やかしすぎたのか、大学生になってからも小遣いをせびりに、事務所にまで行ったりして……」
「っ、それは本当か?」
俺は、彼の報告の途中で、勢いよく立ち上がった。
古谷は怯んだ様子で、一瞬口を噤んだが、
「はい」
大きく頷いて肯定する。
「時任はSNSアカウントのプロフィールで、自身を『国会議員・藤崎六郎の甥』と紹介しているんです」
そう言いながら自分のスマホを操作して、俺に画面を向けて差し出してきた。
俺は、スマホを受け取った。
『KAZUTO.T』というアカウントのプロフィール画面が開かれている。
確かに、『国会議員・藤崎六郎の甥』と謳われていた。
「工学部卒で、事務職?」
俺がなにを質問するか読んでいたのか、古谷は「はい」と胸を張って返事をした。
「こう言っちゃなんですが、かなり不真面目な男のようで。卒業しても就職先が決まらず、見かねた叔父に拾われた……と推察します」
「……なるほど」
凛花の親族のくせに、随分とちゃらんぽらんな男だな……と、俺はやや鼻白んだ気分で相槌を打つ。
「藤崎六郎には子供がいませんから、唯一の甥っ子ということで、昔から可愛がっていたようです。甘やかしすぎたのか、大学生になってからも小遣いをせびりに、事務所にまで行ったりして……」
「っ、それは本当か?」
俺は、彼の報告の途中で、勢いよく立ち上がった。
古谷は怯んだ様子で、一瞬口を噤んだが、
「はい」
大きく頷いて肯定する。
「時任はSNSアカウントのプロフィールで、自身を『国会議員・藤崎六郎の甥』と紹介しているんです」
そう言いながら自分のスマホを操作して、俺に画面を向けて差し出してきた。
俺は、スマホを受け取った。
『KAZUTO.T』というアカウントのプロフィール画面が開かれている。
確かに、『国会議員・藤崎六郎の甥』と謳われていた。