クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
「そのせいか、一般人にしては、フォロワー数も千人ほどと多い。投稿自体は、くだらないんですけどね」


古谷の補足を聞きながら画面をスクロールして、投稿履歴を遡ってみる。
『叔父さんのところに、軍資金調達してくる』『今月早くも金欠だけど、俺には頼れる金庫がいるから大丈夫』――。
国会議員の叔父を『金庫』呼ばわりするふざけた文章と、小馬鹿にしたような絵文字顔文字。


凛花のはとこと知っていても、眉をひそめたくなるほどのろくでなしだ。
眩暈を覚える。
俺は額に手を当てたものの、


「……ん?」


眉根を寄せて、首を捻った。


「最新の投稿は、二年以上も前か。この後は?」

「時任は、二年ほど前から自身でHPを運営していまして。トレーダーを自称して、株や投資について記事を載せています。それと合わせて、フルネームの『時任和人』で新アカウントを開設しています。ローマ字表記の方は、捨てアカにしたようですね」


古谷が意気揚々と答える。


「二十歳そこそこの学生で、叔父に金をたかるような男がトレーダー……?」


俺はさらに眉間に皺を刻み、もっと人となりがわからないかと、フォローリストを開いてみた。
フォロー数もフォロワーと同じく千人近い。
それをスクロールしていき……。


「っ……」


『RINKA.F』という鍵付きアカウントを見つけて、息をのんだ。
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