クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
「なにか困ったことがあったら、ちゃんと相談してよね? 凛花ちゃんは、前の職場に訴えられたりしてなかったんだから、警察が強引な真似に出てきたら通報してあげる」
「はい。ありがとうございます」
私はパソコンの垣根越しにお礼を返してから、無駄に手をヒラヒラさせて頬に風を送った。
いけないいけない、ボーッとしてちゃ……。
仕事中なのに、一人になると、ついつい今朝のことに意識を持っていかれてしまう。
今朝――。
ふと、気配を感じて目を開けたら、奎吾さんの顔が視界に飛び込んできたから、なによりも驚きで胸が跳ね上がった。
覗き込んでいたんじゃない。
睫毛が掠めるほどの至近距離。
声を出す間もなく、唇に柔らかい温もりが落ちてきて、心臓が止まるかと思った。
……キス?
私、奎吾さんにキスされてる――?
遅れて働き出した思考回路が、その状況をそう判断したけど、まったく意味が理解できない。
だって奎吾さんは、こんな風に私に触れたりしない。
結婚記念日の夜だって、なにか怒っていただけ。
私が初めてと知ると、あっさり手を引っ込めてしまった。
多分、私には欲情しないんだと思う。
なのに、なんで。
どうして私にキスなんて……。
理解の限界を超えた混乱で、頭が真っ白になった。
彼の唇が離れていくまで、私はただされるがまま。
それは、そんなに長い時間じゃなかったけど――。
「はい。ありがとうございます」
私はパソコンの垣根越しにお礼を返してから、無駄に手をヒラヒラさせて頬に風を送った。
いけないいけない、ボーッとしてちゃ……。
仕事中なのに、一人になると、ついつい今朝のことに意識を持っていかれてしまう。
今朝――。
ふと、気配を感じて目を開けたら、奎吾さんの顔が視界に飛び込んできたから、なによりも驚きで胸が跳ね上がった。
覗き込んでいたんじゃない。
睫毛が掠めるほどの至近距離。
声を出す間もなく、唇に柔らかい温もりが落ちてきて、心臓が止まるかと思った。
……キス?
私、奎吾さんにキスされてる――?
遅れて働き出した思考回路が、その状況をそう判断したけど、まったく意味が理解できない。
だって奎吾さんは、こんな風に私に触れたりしない。
結婚記念日の夜だって、なにか怒っていただけ。
私が初めてと知ると、あっさり手を引っ込めてしまった。
多分、私には欲情しないんだと思う。
なのに、なんで。
どうして私にキスなんて……。
理解の限界を超えた混乱で、頭が真っ白になった。
彼の唇が離れていくまで、私はただされるがまま。
それは、そんなに長い時間じゃなかったけど――。