クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
「時任和人が、容疑を認めたそうだ」
「っ、え……」
「六郎氏の事務所に小遣いをせびりに行って、お前が席を外した隙にメール情報を盗み出し、SNSで偽のアカウントを開いたことを供述した。今日のところはここまでだ。興奮して暴れるので、今日は聴取を打ち切り、続きは明日行うことになった」
彼にとっては日常的な業務報告だからか、まるで詩を朗読するような淡々とした口振り。
だけど私には、和人君が逮捕されたという実感がひしひしと湧いてきて、両肘を抱え込んで身を縮めた。
「和人君……」
私が知る今までの彼と、今日私を盾に取って警察を愚弄した彼……二つの顔が、頭の中でグルグルと回る。
思わずゾクッと身を震わせた私に。
「俺と居るのに、時任の方が気になるか」
奎吾さんが不満げな口調で挟んだ。
「え?」
「ああ、いや……」
私が顔を上げて聞き返すと、きまり悪そうにツッと目を逸らす。
前に身を屈めて、ガシガシと頭を掻き、
「お前に好きだと言ってもらえて浮かれてる。調子にのった。すまない」
ボソボソと聞き取りにくい声で謝罪した。
顔は背けてしまうけど、耳が赤く染まっているのに気付いて、私の心臓がドキッと弾む。
「だ……だから、どうして謝るんですか……」
私が『好き』と言っただけで、奎吾さんが浮かれるなんて。
「っ、え……」
「六郎氏の事務所に小遣いをせびりに行って、お前が席を外した隙にメール情報を盗み出し、SNSで偽のアカウントを開いたことを供述した。今日のところはここまでだ。興奮して暴れるので、今日は聴取を打ち切り、続きは明日行うことになった」
彼にとっては日常的な業務報告だからか、まるで詩を朗読するような淡々とした口振り。
だけど私には、和人君が逮捕されたという実感がひしひしと湧いてきて、両肘を抱え込んで身を縮めた。
「和人君……」
私が知る今までの彼と、今日私を盾に取って警察を愚弄した彼……二つの顔が、頭の中でグルグルと回る。
思わずゾクッと身を震わせた私に。
「俺と居るのに、時任の方が気になるか」
奎吾さんが不満げな口調で挟んだ。
「え?」
「ああ、いや……」
私が顔を上げて聞き返すと、きまり悪そうにツッと目を逸らす。
前に身を屈めて、ガシガシと頭を掻き、
「お前に好きだと言ってもらえて浮かれてる。調子にのった。すまない」
ボソボソと聞き取りにくい声で謝罪した。
顔は背けてしまうけど、耳が赤く染まっているのに気付いて、私の心臓がドキッと弾む。
「だ……だから、どうして謝るんですか……」
私が『好き』と言っただけで、奎吾さんが浮かれるなんて。