クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
ちょっと見当違いだけど、ヤキモチみたいな質問だって、踊りたくなるほど嬉しいのに……。
私はドキドキと加速し出す胸に手を置き、唇を尖らせた。


「私だって浮かれてますよ。奎吾さんが、私のこと……んっ」


同じ気持ちでいると伝えたくて、もごもごと動かした唇を、横から覗き込むようにして奪われた。


「けい……」


小さく啄むキスを繰り返して離れていく彼を、ボーッと浮かされた気分で見つめる。
奎吾さんはどこか妖艶に目を細め、


「これからは、起きているお前に、こうして触れていいんだな」


薄い唇に確信犯的な笑みを湛える。


「!」

「夜這い紛いなことをしなくても、こうやって堂々と……ぶっ」


私が、身を乗り出してくる彼の唇に手を当てて阻むと、やや不満げに眉根を寄せた。


「なんだ。やっぱりダメなのか……」

「それ! 奎吾さん、さっき『何度も』って言ってました。今朝の一回じゃないってことですよね?」


直球で問い質す私に、「う」と口ごもる。


「何度もって、どれくらいですか」


私が上目遣いでじっとりと探ると、バツが悪そうに目を彷徨わせ――。


「……覚えてないくらい何度も、かな」


彼にしては珍しく、惚けた回答で誤魔化そうとする。


「~~奎吾さんっ!!」

「仕方ないだろ。つい手を出したくなるほど可愛いお前が悪い」
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