クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
唇を割って入ってきた彼の熱い舌に、なにもかも根こそぎ絡め取られて、自然と目蓋が重くなっていく。


「け、けい……」


息ができず苦しくて、私は無意識に彼の腕に手をかけた。
奎吾さんがその手を取って、自分の方に導いていく。


「ん、ふっ……けい、っ……?」

「……わかるか? 興奮すると、男はこうなる」


唇を離し、私の耳元で吐息混じりに囁いてから、ゆっくり背を起こした。
私は、奎吾さんの手に包まれた自分の手を目で追って。


「……っ」


思わず、ひゅっと音を立てて息をのむ。
とっさに引っ込めようとした手を、奎吾さんが一瞬早くグッと握りしめ、さらに強く押し当てた。
そうされると、スラックスの上からでも、熱く脈打つ感覚が伝わってくる。


「あ、あのっ、奎吾さ……」

「あの時は加減する余裕もなく、滅茶苦茶に抱いて凛花を壊してしまったかもしれない」

「っ……」


頭から蒸気が噴射しそうなほど、全身が火照った。
自分の手元を正視できず、首も肩も縮めて目を泳がせる。
なのに奎吾さんは、


「だが、今夜は……」


私の視線すら逃さないと言うように、熱っぽく潤んだ瞳で真正面から私を射貫く。


「……最後まで、お前を抱きたい」


全身から滲み出る、滾るほどの情欲を憚らない彼に、私の心臓がドクンと沸いた。
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