クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
奎吾さんは寝室に連れ込んだ私をベッドの真ん中に横たえると、性急に唇を塞いだ。


「あふっ……ま、待っ、奎吾さ」


彼の腕に両手をかけて抗う私の声を、舌ごと搦め捕ってのみ込む。
奎吾さんにされているというだけで夢見心地なのに、強引に掻き乱すキスで頭がクラクラする。
だけど、私がこのままのぼせてしまってはいけない。


「奎吾さん、ダメです、怪我、してるのにっ……」


私は必死に首を捩って、彼の唇から逃れた。
嫌嫌、と首を振る私に、奎吾さんが不服そうに眉根を寄せる。


「心配しすぎだと言っただろ。このくらい、擦り傷だ」


もどかしげにシャツのボタンを外していくと、その胸元を覆う痛々しい真っ白な包帯が、私の視界に飛び込んできた。


「か、擦り傷で、二十針も縫いません!」

「大して痛まないから大丈夫だ」

「痛み止めの効果です。本当に、今日は無理しないで……」

「頼むから、凛花」


奎吾さんは、押し退けようとする私の手を取り、自分の口元に持っていった。
指先にキスを落とされてピクッと反応する私を、切なげに見つめる。


「お前も俺を好いていてくれたと知って、もう抑えが効かない。無理はしないと約束するから、早くお前を俺のものにさせてくれ」

「っ……」

「今夜、お前の心も身体も、全部俺のものに」


焦燥感さえ漂わせる彼に、私の心臓は壊れたかと思うほど、激しい拍動を繰り出している。
< 194 / 213 >

この作品をシェア

pagetop