クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
彼の身体を考えたら、妻として絶対止めなきゃいけないのに……狂おしいほどの渇望を見せつけて切願されたら、拒みきれない。
奎吾さんは返事に窮した私から目を離さず、私の手の平から手首の内側に唇を這わせた。


「ん、んんっ……」


彼の唇が、舌が触れたところが全部、ゾワゾワする。
血流にのって、全然違う遠いところまでもが痺れる不思議な感覚に、私は身を戦慄かせた。


私から抵抗の力が弱まるのを見透かしたのか、奎吾さんは急いた様子でシャツを脱ぎ捨てた。
躊躇うことなく私に覆い被さり、貪るようなキスを浴びせる。


「ふ、あっ……」


……熱い。
奎吾さんの身体もキスも、私を欲しがる心も全部。
私がどれだけ、こんな彼を見たかったか。
やめてほしいわけない。
嬉しいに決まってる。


「けい……奎吾さんっ……」


私は唇の隙間で彼を呼び、首の後ろに両腕を回してしがみついた。
焦点が合わないくらいの至近距離から、奎吾さんが私の瞳を奥の奥まで探ってくる。


「こ……ここなら、しがみついても痛まない?」


怖々と訊ねた私に、目を細めて相好を崩した。


「ああ、大丈夫。……ありがとう、凛花」


奎吾さんはそれを承諾と解釈したのか、言うが早いか、私の胸に触れた。


「あっ……」


ビクンと身を竦める私の反応を窺いながら、ゆっくり大きく撫で回し……。
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