クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
家柄や経歴など、釣り書きが必要ないくらいよく知る人故、写真の提示もなく、私は『瀬名奎吾』さんがどんな人かわからないまま、形ばかりのお見合いに臨み……。
――ホッとした。
そして、飛び上がりたいくらい嬉しかった。
だって彼は、五歳の私の手を引いてくれた人だ。
私に生まれて初めての『ときめき』を教えてくれた人だったのだから。
あの後、私が瀬名家の催しに出席したのはほんの何度かで、ちょっとでも彼の姿を見ると胸が弾んだ。
なのに、面と向かって話すことはできなかった。
私が恥ずかしがって父と母の背中に隠れ、彼に見つからないようにしていたせいだ。
照れて本人の前に出ることもできないのに、彼を白馬の王子様のように慕い、小学生になると、単なる憧れではなく恋心だと自覚した。
だから、梗平さんだと思っていた彼が『瀬名奎吾』さんで、お見合い相手だと理解して、放心して呟いてしまった。
『すみません。私、瀬名梗平さんだとばかり思っていて……』
お見合いが形ばかりだった証拠に、奎吾さんはすでに婚約指輪を用意していた。
最高クオリティのダイヤを贅沢に散りばめた、豪華だけど華奢なデザインの指輪を私の左手の薬指に嵌めながら、『私と結婚してください』とプロポーズしてくれた。
幼い頃から憧れていた、ずっと好きだった初恋の人に、求婚してもらえるなんて。
もちろん、断るなんてあり得ない。
――ホッとした。
そして、飛び上がりたいくらい嬉しかった。
だって彼は、五歳の私の手を引いてくれた人だ。
私に生まれて初めての『ときめき』を教えてくれた人だったのだから。
あの後、私が瀬名家の催しに出席したのはほんの何度かで、ちょっとでも彼の姿を見ると胸が弾んだ。
なのに、面と向かって話すことはできなかった。
私が恥ずかしがって父と母の背中に隠れ、彼に見つからないようにしていたせいだ。
照れて本人の前に出ることもできないのに、彼を白馬の王子様のように慕い、小学生になると、単なる憧れではなく恋心だと自覚した。
だから、梗平さんだと思っていた彼が『瀬名奎吾』さんで、お見合い相手だと理解して、放心して呟いてしまった。
『すみません。私、瀬名梗平さんだとばかり思っていて……』
お見合いが形ばかりだった証拠に、奎吾さんはすでに婚約指輪を用意していた。
最高クオリティのダイヤを贅沢に散りばめた、豪華だけど華奢なデザインの指輪を私の左手の薬指に嵌めながら、『私と結婚してください』とプロポーズしてくれた。
幼い頃から憧れていた、ずっと好きだった初恋の人に、求婚してもらえるなんて。
もちろん、断るなんてあり得ない。