クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
目線を上げ、唇に人差し指を当ててうそぶく彼女に、ぎこちない笑みを浮かべて黙り込む。
もちろん菜々子さんは、私が参加できないのをわかっているから、ふふっと悪戯っぽく目を細める。
「凛花ちゃんって、結構いいとこのお嬢さんでしょ」
「……え?」
いきなりの話題転換についていけず、私は一拍分の間を置いて顔を上げた。
「名門女子大卒で、二十三で結婚とか。ここに入ったのだって、所長のつてでしょ」
「あ……」
「合コンどころか、羽目外して遊んだこともないんじゃない?」
デスクに両肘をのせ、ググッと身を乗り出してくる彼女に戸惑い、目を泳がせる。
それを答えと捉えたのか、菜々子さんはゆっくり背を起こした。
「それに、あの彼と知り合いってのも……」
「おはようございまーす」
なにか続けた彼女を遮るように事務所のドアが開く音がして、明るい声が聞こえてきた。
「あ」
私が椅子から腰を浮かせるのと同時に、事務室のドア口からひょいと顔を覗かせたのは、奎吾さんの従兄弟の拓哉さんだ。
「おはようございます」
私がドア口に歩いていくと、彼は「ん」と小首を傾げる。
もちろん菜々子さんは、私が参加できないのをわかっているから、ふふっと悪戯っぽく目を細める。
「凛花ちゃんって、結構いいとこのお嬢さんでしょ」
「……え?」
いきなりの話題転換についていけず、私は一拍分の間を置いて顔を上げた。
「名門女子大卒で、二十三で結婚とか。ここに入ったのだって、所長のつてでしょ」
「あ……」
「合コンどころか、羽目外して遊んだこともないんじゃない?」
デスクに両肘をのせ、ググッと身を乗り出してくる彼女に戸惑い、目を泳がせる。
それを答えと捉えたのか、菜々子さんはゆっくり背を起こした。
「それに、あの彼と知り合いってのも……」
「おはようございまーす」
なにか続けた彼女を遮るように事務所のドアが開く音がして、明るい声が聞こえてきた。
「あ」
私が椅子から腰を浮かせるのと同時に、事務室のドア口からひょいと顔を覗かせたのは、奎吾さんの従兄弟の拓哉さんだ。
「おはようございます」
私がドア口に歩いていくと、彼は「ん」と小首を傾げる。