クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
「凛花ちゃんから誘えば?」

「だ、だからっ……」

「別に、恥ずかしいことじゃない。妻から誘っちゃいけないって決まりはないんだから。むしろ、清楚で貞淑な凛花ちゃんだからこそ、意外性エフェクトがあっていいかもよ?」


私は彼から目を離せず、無意識にこくりと喉を鳴らした。
周りにサッと視線を走らせてから、


「意外性……って、どんな?」


テーブルに両手を突いて前のめりになる。
拓哉さんは、ニッと唇を引いて微笑んだ。


「例えば、エッチな下着で迫ってみるとか」

「!?」

「大事な妻に頑張って求められて、喜ばない夫はいないよ」

「喜ばない夫はいない……」


悪戯っぽく瞳を動かす彼の言葉を繰り返して、私はごくんと唾を飲んだ。
そうだろうか。本当に?
こんな私でも、頑張れば奎吾さんも……。


一瞬拓哉さんのアドバイスを真剣に考えて、心がグラッと揺れた。
真正面で拓哉さんが頬杖をついて、斜めの角度から私をニヤニヤと眺めているのに気付き、ハッと我に返る。


「だ、だから。全然そんなこと悩んでないですからっ」


わざとつっけんどんに言って、トレーに置いた箸を持った。
彼の視線を居心地悪く感じながらも、無駄にせかせかと蕎麦を口に運んだ。
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