クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
「ん、ふっ……ふぁ……」
今や、心臓は早鐘のように打ち鳴っている。
熱くて苦しくて、脳血管が破れそうなくらいのぼせ上がる。
初めてのキスから、初めてのディープキス。
今日一日で怒涛のように襲いかかる初めての波に、緊張や恥ずかしさを押し退け、恐怖が台頭してくる。
「や、嫌、奎吾さ、けい……」
圧しかかってくる彼の引き締まった厚い胸板に、とっさに両手を置いた。
力を入れようとすると、腕が小刻みに震える。
「はっ……」
激しいキスは、どれくらい続いたのか。
奎吾さんが短い吐息を零して唇を離した時、私の息はすっかり上がっていた。
生理的に目尻に滲んだ涙が、こめかみに伝い落ちる。
荒い息を整えようとするのに、身体の痙攣が止まらない。
私を見下ろす奎吾さんが、くっと眉根に力を入れた。
「震えてるな」
このくらいで不甲斐ない新妻を、抑揚のない口調で咎めているのかと思った。
「ご、ごめんなさ……」
「嫌か」
謝罪を阻む短い問いに触発され、ゾクゾクと身体が戦慄く。
『違う』と答えたいのに、声帯が締めつけられたみたいに、声にならない。
「……はっ」
なにをどう解釈したのか、奎吾さんは物憂げに顔をしかめて、短く浅い息を吐いた。
忌々しそうな吐息にギクッとして、私はガチガチに強張ってしまう。
今や、心臓は早鐘のように打ち鳴っている。
熱くて苦しくて、脳血管が破れそうなくらいのぼせ上がる。
初めてのキスから、初めてのディープキス。
今日一日で怒涛のように襲いかかる初めての波に、緊張や恥ずかしさを押し退け、恐怖が台頭してくる。
「や、嫌、奎吾さ、けい……」
圧しかかってくる彼の引き締まった厚い胸板に、とっさに両手を置いた。
力を入れようとすると、腕が小刻みに震える。
「はっ……」
激しいキスは、どれくらい続いたのか。
奎吾さんが短い吐息を零して唇を離した時、私の息はすっかり上がっていた。
生理的に目尻に滲んだ涙が、こめかみに伝い落ちる。
荒い息を整えようとするのに、身体の痙攣が止まらない。
私を見下ろす奎吾さんが、くっと眉根に力を入れた。
「震えてるな」
このくらいで不甲斐ない新妻を、抑揚のない口調で咎めているのかと思った。
「ご、ごめんなさ……」
「嫌か」
謝罪を阻む短い問いに触発され、ゾクゾクと身体が戦慄く。
『違う』と答えたいのに、声帯が締めつけられたみたいに、声にならない。
「……はっ」
なにをどう解釈したのか、奎吾さんは物憂げに顔をしかめて、短く浅い息を吐いた。
忌々しそうな吐息にギクッとして、私はガチガチに強張ってしまう。