クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
「え、ええと……」
私は肩を縮めて、目を泳がせた。
すると、中西先生が気を取り直したように、「ごめんね」と頭を掻く。
「好きじゃなくても仕事だからやるけど、今回のは特に酷くてね」
眉尻を下げてボヤくのを聞いて、私は好奇心をくすぐられ、こくりと喉を鳴らした。
「酷い?」
「まあ、座って」
菜々子さんが私に、対面のソファを勧めてくれる。
私は一瞬躊躇したものの、二人と向かい合って腰を下ろした。
「正直、夫にも妻にも同情の余地もない。最低夫婦」
菜々子さんが足を組み上げて腕組みする隣で、中西先生もうんうんと頷く。
「結婚三年目、二人とも三十代。子供なし。奥さんは結構良家のお嬢様で、高齢の両親から早く孫の顔をとせっつかれててね」
「でも二人は、二年目から、そっちの方はレス状態」
「え……」
先生の説明に合いの手を入れる菜々子さんに、私は何故かギクッとして声を漏らした。
「ご主人はエリート商社マンで仕事が忙しく、出張も多い。レスではない、多忙なせいだと主張している」
「…………」
私が聞いていていいんだろうか?
なんだか急に居心地悪くなって、膝の上で結婚指輪を嵌めた左手を右手でギュッと握りしめる。
「でも奥さんは、ご主人の浮気が原因だと反論した」
「っ、えっ?」
私は肩を縮めて、目を泳がせた。
すると、中西先生が気を取り直したように、「ごめんね」と頭を掻く。
「好きじゃなくても仕事だからやるけど、今回のは特に酷くてね」
眉尻を下げてボヤくのを聞いて、私は好奇心をくすぐられ、こくりと喉を鳴らした。
「酷い?」
「まあ、座って」
菜々子さんが私に、対面のソファを勧めてくれる。
私は一瞬躊躇したものの、二人と向かい合って腰を下ろした。
「正直、夫にも妻にも同情の余地もない。最低夫婦」
菜々子さんが足を組み上げて腕組みする隣で、中西先生もうんうんと頷く。
「結婚三年目、二人とも三十代。子供なし。奥さんは結構良家のお嬢様で、高齢の両親から早く孫の顔をとせっつかれててね」
「でも二人は、二年目から、そっちの方はレス状態」
「え……」
先生の説明に合いの手を入れる菜々子さんに、私は何故かギクッとして声を漏らした。
「ご主人はエリート商社マンで仕事が忙しく、出張も多い。レスではない、多忙なせいだと主張している」
「…………」
私が聞いていていいんだろうか?
なんだか急に居心地悪くなって、膝の上で結婚指輪を嵌めた左手を右手でギュッと握りしめる。
「でも奥さんは、ご主人の浮気が原因だと反論した」
「っ、えっ?」