クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
『……いいなあ』
入籍前から一緒に暮らしていて、とても大事にしてもらっている歩さんの幸せを妬み、僻むようなことを口にした自分に、嫌悪感が広がる。
ズンと落ち込む自分を叱咤して、私は「はあ」と声に出して息を吐いた。
「カレー……カレーか」
純平さんから唯一引き出せた答えを反芻して、目を閉じて思考を巡らせる。
だったら、タンドリーチキンを作ろうかな。
奎吾さんが辛いものが好きなら、朝から時間をかけてスパイスが効いたカレーとナンを作って、インディアンパーティーにするとか。
そうやって、頭の中で三日後の結婚記念日の計画を繰り広げて、鬱蒼とする気分を晴らそうとした。
と、その時。
脱力していた手の中でスマホがブブッとバイブして、私はギクッと身を竦めた。
反射的にスマホを顔の高さに持ち上げると、奎吾さんからのLINEメッセージの通知だった。
条件反射で、ドキッと胸が弾む。
ソファから背を起こし、すぐにメッセージを確認して――。
「…………」
私は力なく腕を下ろした。
『すまない。急遽香港に出張になった。今、羽田空港にいる。なるべく早く仕事を済ませて、帰れる時に連絡する』
――海外出張。
三日で帰って来れるのかな……。
「日持ちするって、そういう意味……」
ソファの背に後頭部を預け、目元に両腕を翳して、降ってくる明かりを遮った。
入籍前から一緒に暮らしていて、とても大事にしてもらっている歩さんの幸せを妬み、僻むようなことを口にした自分に、嫌悪感が広がる。
ズンと落ち込む自分を叱咤して、私は「はあ」と声に出して息を吐いた。
「カレー……カレーか」
純平さんから唯一引き出せた答えを反芻して、目を閉じて思考を巡らせる。
だったら、タンドリーチキンを作ろうかな。
奎吾さんが辛いものが好きなら、朝から時間をかけてスパイスが効いたカレーとナンを作って、インディアンパーティーにするとか。
そうやって、頭の中で三日後の結婚記念日の計画を繰り広げて、鬱蒼とする気分を晴らそうとした。
と、その時。
脱力していた手の中でスマホがブブッとバイブして、私はギクッと身を竦めた。
反射的にスマホを顔の高さに持ち上げると、奎吾さんからのLINEメッセージの通知だった。
条件反射で、ドキッと胸が弾む。
ソファから背を起こし、すぐにメッセージを確認して――。
「…………」
私は力なく腕を下ろした。
『すまない。急遽香港に出張になった。今、羽田空港にいる。なるべく早く仕事を済ませて、帰れる時に連絡する』
――海外出張。
三日で帰って来れるのかな……。
「日持ちするって、そういう意味……」
ソファの背に後頭部を預け、目元に両腕を翳して、降ってくる明かりを遮った。