クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
焦がれるほど欲した肌にがむしゃらに顔を埋め、意図的に抑制してきた欲情を解放する。
知性も理性も、大人の男の余裕も……凛花に触れた俺からは、なにもかも吹っ飛んでいた。


「あ、ああっ、けい、奎吾さ……」


凛花は声を憚ることもできず、俺の下で乱れる。
彼女が恥ずかしがった淫らな下着は、この淫靡な行為の邪魔にはならない。
だが、俺の愛撫でずれ、彼女の身体に申し訳程度に纏わりつき、肌を重ねる俺にはゴワゴワと不快だ。
ホックを外してブラジャーを掴み、勢いよく剥ぎ取った。


「あっ、やあっ……」


もう裸同然だったのに、『最後の砦』を奪われ心許ないのか、凛花が『嫌嫌』と首を振る。
まだ、恥じらう余裕があるのか。
それとも、まだ嫌がってる?
俺は自嘲気味に顔を歪ませた。


――嫌がられようが、止まらない。
彼女の反応に構わず、小ぶりだが形のいい胸を後ろから鷲掴み、仰け反った喉元に舌を這わせる。


「あ、うっ……」

「くっ……凛花」


声をくぐもらせる彼女の肩に額を預け、俺はブルッと身を震わせた。
心臓は、ドッドッと早鐘のように拍動している。
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