クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
三人分のお茶を淹れて中西先生の部屋に入ると、先生と菜々子さんはこの間と同じく並んでソファに座っていた。
その対面には、依頼人の女性……。
私は無意識にゴクッと唾を飲み、伏し目がちにソファの方へ歩いていった。
私がお茶を出す間、三人は黙っていた。
横顔に、女性の視線を感じる。
私が邪魔で、相談が中断しているせいかと思い、そそくさと頭を下げて退室しようとした。
ところが。
「瀬名さん。君も座ってくれないか」
「え?」
中西先生に呼び止められ、振り返る。
言われた意味がわからず戸惑って足を竦ませると、菜々子さんがゆっくり立ち上がった。
「篠原さん。彼女は事務員の瀬名です。今、中西先生がお話したのは、彼女の意見が元にあって」
「え……」
「先生、依頼人の相談内容を部外者に話したんですか」
ギクッとしてトレーを胸に抱きしめる私を遮って、篠原さんと呼ばれた女性が頬に朱を挿して腰を浮かせた。
「それは、弁護士の守秘義務違反じゃ……」
「瀬名は部外者じゃありませんよ」
いきり立つ彼女に、中西先生が悠然と声を挟んだ。
「信濃が言った通り、うちの事務員です。相談報酬の請求書は彼女が作成するので、その内容もある程度は知る必要があります」
その対面には、依頼人の女性……。
私は無意識にゴクッと唾を飲み、伏し目がちにソファの方へ歩いていった。
私がお茶を出す間、三人は黙っていた。
横顔に、女性の視線を感じる。
私が邪魔で、相談が中断しているせいかと思い、そそくさと頭を下げて退室しようとした。
ところが。
「瀬名さん。君も座ってくれないか」
「え?」
中西先生に呼び止められ、振り返る。
言われた意味がわからず戸惑って足を竦ませると、菜々子さんがゆっくり立ち上がった。
「篠原さん。彼女は事務員の瀬名です。今、中西先生がお話したのは、彼女の意見が元にあって」
「え……」
「先生、依頼人の相談内容を部外者に話したんですか」
ギクッとしてトレーを胸に抱きしめる私を遮って、篠原さんと呼ばれた女性が頬に朱を挿して腰を浮かせた。
「それは、弁護士の守秘義務違反じゃ……」
「瀬名は部外者じゃありませんよ」
いきり立つ彼女に、中西先生が悠然と声を挟んだ。
「信濃が言った通り、うちの事務員です。相談報酬の請求書は彼女が作成するので、その内容もある程度は知る必要があります」