朝を探しています
『はじめまして。片山真美と申します。
 いつも斉木主任にはお世話になっております。同封しましたメモリーの件で、奥様にお話ししたいことがございます。奥様のご都合の良い時に、下記の番号までご連絡ください。お待ちしております。』


 まるで業務連絡のような文体だが、内容が不審すぎる。メモリーを見ていいことなどきっと一つもないのだろう。

 そう思いつつも、自分がそれを開かずにはいられないことも波那はわかっていた。

 寝室の机に置いてあるパソコンにメモリーを指すと、入っているのが音声データだとわかった。
 次第に大きくなる鼓動に胸元を押さえながら眠る幸汰を見やり、波那はイヤホンをつけてそのデータをクリックした。



『雅人さん、おめでとうって言って、キスして。』
『…25歳おめでとう、真美。…ん…』

『気持ちいい…。ね、雅人さんも気持ちいい?』
『ああ。気持ちいいよ。』

『真美…好きだ。大好きだよ。』
『世界で一番?』
『ああ、一番好きだ。』

『ねぇ、口でしてもいいですか?奥さん、あんまりしてくれないんですよね。』
『真美、妻のことは…』
『はい、言わない約束でしたよね。嫌な気持ちにさせてしまってすみません。』


『あんっ…はぁっ、まさと、さっ、あああっ』
『んっ…くっ、真美っ……んっ』
『…はぁっ…はっ…… すきっ、すきぃ…もっと、もっと突いてっ…ああっ、いいっ、すごい……ああん…っいっちゃう、いっちゃう…っ!』


『…すごく、良かった…。明日もずーっと、雅人さんとこうして繋がっていられたらいいのに…』
『真美…』
『大丈夫。わかってます。でも私は雅人さんの恋人……ですよね?』
『……ああ。』
『…ね、もう一回しませんか。今度は私が上になります。…ほら、もう雅人さんのもこんなですよ…』



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