【完結】結婚二年目の憂鬱。〜僕は妻に裏切られていた〜
僕はスマホを取り出し、すぐに兄貴に電話した。
「悪いんだけどさ……しばらく泊めてくれないかな」
「え? まあ、俺は別にいいけど……」
「ありがとう。助かるよ」
兄貴は僕に「急にどうした?大輝。 何かあったのか?」と聞いてくる。
「ちょっと事情があって……里織と距離を置くことになったんだ」
「え? 里織ちゃんと?」
兄貴は不思議なんだろう、僕がなぜ里織と距離を置くことになったのか。
「……ああ、だからしばらく泊めてほしいんだ」
「分かった。 じゃあ家に来い」
「ありがとう、兄貴」
こういう時、頼れるのは兄貴だな。
「もう来るか?」
「ああ、出来ればすぐに行きたい」
「分かった。じゃあ部屋片付けておくから、着いたら連絡してくれ」
兄貴にそう言われて電話を切った僕は、ボストンバッグにある程度の着替えを詰め込んだ。
「大輝、本当に行っちゃうの……?」
家を出ようとした時、里織は僕の背中にそう話しかける。
「ああ、行くよ。距離を置きたいから」
「ちゃんと、帰ってくるよね?大輝……」
「……それは分からないよ」
僕は里織のこと、許せないから……。