【完結】結婚二年目の憂鬱。〜僕は妻に裏切られていた〜


 兄貴は複雑そうな顔をしている。

「……お前らは、勝手にうまく行ってると思ってたよ」

「………」

 そう言われて僕は、何も言えなかった。

「まさか大輝が、サレ夫だったとはな……」

「僕だって……信じられないよ。 里織のこと愛してるし、ずっと大切にしたいと思ってた」

 僕は里織のことをとても大切にしたいと思ってる。その気持ちに変わりはないけど……。

「……大輝」

「でも僕……自信がないんだ。 里織とこれかも夫婦でいる自信が、ないんだ」

 兄貴は黙って僕の目の前にあるグラスに、ビールを注いでくれる。

「ほら、飲めよ大輝」

「……え?」

「イヤなことは飲んで忘れちまえよ、な?」

 兄貴はこんな僕を慰めてくれる。何も言わずに、そばにいてくれる。

「……ああ、ありがとう兄貴」

 僕はビールの入ったグラスを持ち、ビールを飲む。

「俺は大輝の決めたことなら、応援するよ」

「え?」

「お前がどんな結果になったとしても、俺はお前を責めたりはしないよ。……お前を応援する。俺はお前の兄貴だからな」

 兄貴の優しさに、僕は心が少し穏やかになった気がした。

「……兄貴、僕はーーー」

「ん……?」
 
 これは、結婚二年目の憂鬱だ。
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