【完結】結婚二年目の憂鬱。〜僕は妻に裏切られていた〜
今度は里織が、僕にそう聞いてくる。
「……僕は君と、離婚はしない」
「え……?」
あの時からずっと、離婚しようと考えていた。 離婚してスッキリしたい、楽になりたい。
そう思ってた。そう思ってたんだ。
「里織と離婚はしないよ、僕」
それでも僕にとって里織は、とても大切な人なんだ。 里織のことをこんなにも愛してる。
「……どうして?どうして、大輝……」
「君を愛してるからだよ」
そんなのは簡単だ。里織を愛してるからしかない。
「最初は僕も、離婚しようと思った。こんな裏切り行為許せないし、許したくもないって思ってたよ」
「じゃあ……なんで?」
里織は今にも泣きそうな顔で、俺を見つめてくる。
「離婚したら、僕は負けだと思ったんだよ」
「負け……?」
「里織、君は確かに僕を裏切った。不倫してた事実はこの先ずっと変わらない。……でも僕にも責任があるって分かったんだ。 きみの言う通りだ。僕はセックスレスになっても、愛があればなんとでもなると、実際にそう思っていた」
里織は僕の話を、ただ黙って聞いていた。
「だからね里織、僕は里織と離婚はしない。ずっとこれからも、僕は里織の夫だ」