秘密の恋は何色?
華菜を保健室のベッドに寝かせてみほはカーテンを閉めた。
そしてきれいな笑顔でもう一人の客人に問いかけた。
「何をしたのかしら?」
「後ろから声をかけただけだ。」
「そう…。それだけ?」
「肩をつかんだ。」
「あらあら。そんなこともしたの?」
そう問いかけるみほの表情はとてもきれいな笑顔だ。
だが、これはみほが怒っているときの笑顔でもある。
「華菜のストーカーかしら。」
「いや、今日あったばかりだ。」
「それでもいきなり肩をつかまれて声をかけられたら誰だって驚くわ。」
それが華菜ならなおさらだ。
「あの噂は本当だったんだな。」
「何のことかしら?」
「椿原華菜は男性に対して恐怖心を抱いている。」
「何のことかしら?」
「椿原グループ直系の唯一の女。本家本元は男児に恵まれてはいるが女児には恵まれることのなかった。そこに生まれた椿原のお姫様。そんなことを公表すれば誰だって金目的に誘拐やら監禁やら起こすだろう。」
そう、華菜は生まれた瞬間に世界中に公表された。
椿原直系、本家本元の唯一の姫。
分家には多くの女児が生まれていた。しかし、直系には生まれていなかった。
そんな中生まれた女児に騒ぎ立てても誰も責めることはできない。
「それもそうね。でも、だからって私たちを責めるのは間違っているでしょう。」
「そうだな。だがそこから歯車は狂いだしている。たとえ、それが故意でなかったとしてもあいつが戻ってくる前にお姫様は壊れる。」
「あいつって誰のことかしら?」
「各務原冬真(かがみはらとうま)。お姫様の許嫁だよ。」
「どうして知っているのかしら?情報公開はしていないけれど。」
「当然だろう。椿原の婆さんから連絡が来たんだよ。うちの長兄と婚約を結んでほしいってな。」
「じゃあ、あなたは…?」
「各務原琉翔(かがみはらりゅうと)。冬真の弟だよ。」
それを聞いてみほは驚いた。
確かに当時、各務原のお爺様に大婆様が婚約を結ぶために伺った。
赤子だった華菜をみほが抱いて一緒に行ったことを今でも覚えている。
各務原の家に行ったとき、両親に手を引かれていた冬真と母親に抱かれていた子供。
「じゃあ、もしかして当時抱かれていた子供って…。」
「多分俺。」
「あれが、こんなのになるなんて。時間というのは残酷なのね…。」
はぁ…とため息をつくと同時に―
「……ぅ…うん…。」
華菜の目が覚めたのだろう。
小さな声が聞こえ、カーテンを開ける。
「おはよう、華菜ちゃん。」
「……うりゅ…。おはよう…。」
目をこすりながら返事を返す華菜。
そしてきれいな笑顔でもう一人の客人に問いかけた。
「何をしたのかしら?」
「後ろから声をかけただけだ。」
「そう…。それだけ?」
「肩をつかんだ。」
「あらあら。そんなこともしたの?」
そう問いかけるみほの表情はとてもきれいな笑顔だ。
だが、これはみほが怒っているときの笑顔でもある。
「華菜のストーカーかしら。」
「いや、今日あったばかりだ。」
「それでもいきなり肩をつかまれて声をかけられたら誰だって驚くわ。」
それが華菜ならなおさらだ。
「あの噂は本当だったんだな。」
「何のことかしら?」
「椿原華菜は男性に対して恐怖心を抱いている。」
「何のことかしら?」
「椿原グループ直系の唯一の女。本家本元は男児に恵まれてはいるが女児には恵まれることのなかった。そこに生まれた椿原のお姫様。そんなことを公表すれば誰だって金目的に誘拐やら監禁やら起こすだろう。」
そう、華菜は生まれた瞬間に世界中に公表された。
椿原直系、本家本元の唯一の姫。
分家には多くの女児が生まれていた。しかし、直系には生まれていなかった。
そんな中生まれた女児に騒ぎ立てても誰も責めることはできない。
「それもそうね。でも、だからって私たちを責めるのは間違っているでしょう。」
「そうだな。だがそこから歯車は狂いだしている。たとえ、それが故意でなかったとしてもあいつが戻ってくる前にお姫様は壊れる。」
「あいつって誰のことかしら?」
「各務原冬真(かがみはらとうま)。お姫様の許嫁だよ。」
「どうして知っているのかしら?情報公開はしていないけれど。」
「当然だろう。椿原の婆さんから連絡が来たんだよ。うちの長兄と婚約を結んでほしいってな。」
「じゃあ、あなたは…?」
「各務原琉翔(かがみはらりゅうと)。冬真の弟だよ。」
それを聞いてみほは驚いた。
確かに当時、各務原のお爺様に大婆様が婚約を結ぶために伺った。
赤子だった華菜をみほが抱いて一緒に行ったことを今でも覚えている。
各務原の家に行ったとき、両親に手を引かれていた冬真と母親に抱かれていた子供。
「じゃあ、もしかして当時抱かれていた子供って…。」
「多分俺。」
「あれが、こんなのになるなんて。時間というのは残酷なのね…。」
はぁ…とため息をつくと同時に―
「……ぅ…うん…。」
華菜の目が覚めたのだろう。
小さな声が聞こえ、カーテンを開ける。
「おはよう、華菜ちゃん。」
「……うりゅ…。おはよう…。」
目をこすりながら返事を返す華菜。