秘密の恋は何色？

教室に向かいながら廊下を早足で進む。
『鬼山の何が気に入らないんだよ？』
如月先輩の声が頭の中で反芻する。
そんなの決まっている。
「彼が帰ってくるからだよ―。」
絶対に逃れることのできない運命。
私が生まれたときから、生まれる前から決められた運命―。
「椿原華菜、君がこんな時間に廊下にいるなんて珍しいね。」
考え事をしていたら後ろから声をかけられて振り向いた。
「御原君？」
御原春樹（みはらはるき）。クラスメイトの男子で女子からは人気があるけど…。
「御原君こそ、こんなところにいるなんて。さぼるつもりなの？」
「そうだよ。国語なんて受けるだけ無駄だろう？」
「そういう割には成績そんなに良くないよね。」
「あれに本気で取り組むなんて…。椿原華菜は馬鹿なのかな？」
「馬鹿って…。はぁ、もう行くわ。」
そういって教室に向けて早足でかけていった。