秘密の恋は何色?
華菜が叫びだす5分前―。
「では、本日はここまでにしましょう。」
『お疲れ様でした。』
そういってそれぞれに解散していく。
みほも保健室に戻ろうとした時―
「佐倉先生。」
「加山先生、お疲れ様です。」
「お疲れ様です。椿原のことで少しいいですか?」
「はい、どうかされましたか?」
「椿原のやつ、外部を受けたいそうなんですが何か聞いてますか?」
「外部受験のことは聞きました。でもまだどこを志望するかは決まっていないようです。」
「そうですか…。椿原の成績なら鬼山でも十分だと思うのですが、もう一度親御さんと話し合うように言ってもらえませんか?」
「親御さんとは難しいと思いますが、本人とまた話し合ってみますね。」
「お願いします。僕じゃ力及ばなくて…。」
「そんなことはないですよ。では、お疲れ様です。」
「お疲れ様です。」
そういって加山先生と別れて保健室に向かった。
階段を降り切った時―
「きゃー!!!!!」
華菜の声が響いた。
その声を聴いてみほは保健室に急いだ。
そしてー
「華菜ちゃん⁉」
軽くパニックを起こしている華菜とその近くで驚いている生徒が一人―。
その生徒との間に何があったかは知らないが、華菜を抱きしめた。
「大丈夫。大丈夫よ、華菜ちゃん。」
そっと背中をなでているが華菜はパニックを起こしたままだった。
それでもみほは華菜をあやした。小さな子供にするように優しく抱きしめた。
「大丈夫、もう大丈夫よ。」
その声が聞こえたのか、少し落ち着きを取り戻した華菜。
そしてみほの腕の中で気を失った。
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