ワケありイジワル王子はツンデレ姫様を溺愛したい。

体育館でのアクシデント

【拓也side】


あ、行ってしまった。




でもまあ………




『お姫様抱っこされたー!!!!』




可愛かったから、いいかな。




それと、体重聞いたのさっき軽すぎるから心配になっただけなんだけど……余計なお世話だったかな。




それにしても………リアちゃん、予想以上だったな、ふふ。




僕の可愛い暇つぶし物件。




絶対、手に入れてみせる。





リアちゃんと会った次の日。




今日の1時間目は………体育か。




「拓也ー、早く着替えて体育館いこうぜ。」




「ああ、うん。」




声をかけてきたのは俺の小学校からの友達、明日見明輝(あすみあき)。




航空会社の社長を父に持っている。




それより……今回の体育全クラス合同だな。




ってことは……リアちゃんに会える?




ふふ、楽しみだなあ。





あ、リアちゃんだ。




でもそれどころじゃない。




周りが……女子だらけ。




「リアちゃ………」




ごめんリアちゃん。




君のこと使ってこの状況突破させてもらうよ。




でもそれは僕の甘い考えだった。




「キャーー!!ちょっと清美様、リアってどなた?」




「もしかして……清美様の彼女様!?」




「ええ!?わたくしそんなの嫌です!!」




うっわ………やば、香水が……




「はーい、みんなどいてどいてー。」




そう言って助けてくれたのは明輝。




明輝はこういう時いつも助け舟を出してくれる。




それに……




「キャー!!明日見様!!」




明輝はかなりのイケメンだし愛想がいいため、女子ウケがいい。




その影響があり明輝が何か言うと女子はすぐ言うことを聞いてくれる。




女子達………顔が良ければ誰でもいいのでは?




「明輝……ありがとう。」




「お前っていっつもこうだよな。」




うっ……




「ごめん。」




僕が謝ると明輝は何故か笑みを浮かべて。




「それはもういいからさ。それで、リアって誰!?」




ああ、こうなると思った。




今まで女子の名前を出した事がない僕から女子の名前が出たのだ。




そりゃ興味あるよね。




「リアちゃんは、僕の暇つぶし物件。」




「ふむふむ………って、は?」




え、わかんなかった?




「だから、暇つぶし物件。」




それでも納得のいかない顔を浮かべている明輝。




「いやいやいや!暇つぶし物件って何?どゆこと?」




「は?そのまんまだよ。」




「………へー、お前ってチャラかったのか。初めて女子に興味持ったと思ったら、こいつ、暇つぶし物件程度にしか思ってないだと……?」




明輝がなにかブツブツ言ってる。




てか僕チャラくないし。




「でもそのリアって子もお前の秘密知ったら……ん!」




僕は明輝の口を手で塞いだ。




「言うな。」




「っ………」




おっと、いけないいけない。




「ごめんごめん。うっかり。」




「はあ……相変わらず怖ぇ。まあ、頑張れ。」




………え、何こいつムカつく。




めっちゃ上からじゃん。




でも明輝は今まで女子と付き合ってたことあるしね。




恋愛においては先輩か。




でも………多分、僕の方が上手だよ?




今に見てろ。リアちゃんは僕のもの。




「おーい、クラスごとに並べー。」




僕のクラス、1年A組の教師が全体に声をかける。




そして次第に話し声も減ってくる。




タイミングを見計らい、教師が口を開いた。




「今日は1年生歓迎会も兼ねた球技大会が出来なかったため、今日行うことにする。」




ああ、なるほど。




全クラス合同の理由が分かり納得していると、引き続き教師が話し始める。




「今日は事前に行ったアンケートを元に、ドッジボールをすることにする。試合はトーナメント式だ。AからDまであるクラスでAとB、CとDで行っていく。奥のコートがCとDだ。速やかに移動しろ。」




じゃあリアちゃんと僕は敵同士か。




残念だなぁ。




………ん?




あの女子達、まさか……




「拓也、面白い事になりそうだな。」




面白くはないけど……女子達がどう出るか見ものだな。


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