ワケありイジワル王子はツンデレ姫様を溺愛したい。
【拓也side】


やっぱり女子の様子がおかしい。




………リアちゃんか。




どうせ嫉妬でもして、リアちゃんに何かする気だ。




見張ってはいるけど……何も起こらないといいな。





うおっ。




僕めっちゃ狙われる。




そっちがその気なら、レベル合わせて相手してあげるよ。




ブンっ。




そして、僕が投げたボールが2人同時に当たった。




ふとその隣を見ると。




……え?あれは……リアちゃん?




しまった。




そう思ったがもう時すでに遅し。




リアちゃんは足を踏まれて、痛さのあまりその場にうずくまっていた。




っ………!!




僕は今までにない怒りを覚えた。




どいつだ………“俺”のもんに傷つけたのは。




あいつらか。見るからに動揺している。




チッ。




そしてリアちゃんの所へ行く。




「キャーー!!」




うるせぇな、黙ってろ。




そう言っていしまいたいのを必死に堪える。




リアちゃんの元へ着くと直ぐにリアちゃんを抱き、保健室へ向かった。




あ、それと………




「明輝、ごめん。後よろしく。」




「もう、分かったよ。」




絶対許さない。




リアちゃんは“俺”のもの。





保健室に着いた。




でも先生の姿が見当たらない。




じゃあ僕が手当しよう。




それにしても酷いな。




足は赤く腫れ、所々出血している。




僕のせいで………




「ごめん。」




すると、リアちゃんが目を覚ました。




「リアちゃん!大丈夫?僕のこと分かる?」




リアちゃんは僕の方を見て目を見開いたあと、そっぽを向いてしまった。




……そりゃそうか。




僕のせいで怪我したんだから。




「………とう。」




「え?」




今、リアちゃん何か言った……よね?




気のせいかな。




そう思っていると、今度はハッキリとした声で言った。




「ありがとう………その、助けてくれて」




「………!!」




なんで……僕のせいで痛い思いしたのに、なんで……。




っ、じゃあさっきそっぽ向いたのは……照れ?




確かにリアちゃんの耳は赤くなっている。




恥ずかしがることないのに……可愛い。




「何笑ってるの!」




お、姫が怒った。




「ふふ、なんでもないよ。」




「うぅ〜、清美のバカ!!」




ば、バカ?それに今僕さらっと呼び捨てにされたよね?




こんな子初めて。




嬉しいんだけど、でも……




「清美は……嫌だなぁ。」




「あっ………」




あれ、自覚してなかったのかな。




するとまたそっぽを向いてしまう。




リアちゃんってよく分かんない。




「………タタ。」




「………?」




た?




「今日から清美はタタ!!どうだ!可愛いでしょ!」




タタ……って、ああ、あだ名か。




可愛い名前。




でも……




「リアちゃんの方が、可愛いなあ。」




あ、声に出ちゃった。




「……ぼふっ」




そんな音を立ててリアちゃんの顔は真っ赤になった。




「な、な……!」




もう、どこまで可愛いの、君は。




「と、とにかく、今日からタタ!!」




「はいはい。……ふふっ。」




「も〜!!笑うなあーー!!」




なんやかんやあって、数日経ったらリアちゃんの足は元通りになり、僕のあだ名はタタになった。


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