ワケありイジワル王子はツンデレ姫様を溺愛したい。
【拓也side】


急にリアちゃんに馴れ馴れしくしてきた男。




……誰だよ?




「あんた誰?」




“俺”が警戒しながら言うと、リアちゃんはビクッと震える。




「………た、タタ?」




あ、怖がらせちゃったかな。




「リアちゃん、大丈夫。怖かったね、ごめん。」




「う、ううん。」




それで……このニコニコしてる男は誰だ?




リアちゃんと知り合いみたいだし。




こいつ………3年じゃねぇか。




ここ聖・神華学園は、学年ごとに女子はリボン、男子はネクタイの色が違う。




1年は黒と白、2年は黒と紺、3年は黒と赤という配色。




「3年のセンパイ、リアちゃんに何か用ですか?」




俺のその言葉に首を傾げるソイツ。




「あたかも梨愛ちゃんが自分の物のように言わないで欲しいな。梨愛ちゃんは僕のなんだから。」




「……あ?」




どういう事だ、僕のものって……リアちゃんはこいつと付き合ってるのか?




胸がズキっと痛む。




さらにトドメを刺すように続ける。




「だって、梨愛ちゃん僕のこと優しいって言ってくれたんだよ?」




っ………何なんだよ、こいつ……。




「違っ、それはタタみたいな……っ」




「ああ、もうそういうのいいからさ。」




そう言ってソイツはリアちゃんを屋上の扉に押し付ける。




「おい……!!やめろ!」




「っ……やめ、て……手、痛いっ」




「ねえねえ、早く僕のものになってよ。昨日みたいに笑顔で微笑みかけてくれながらさあ。」




……ふぅ……あーあ、せっかく隠してたのに。




まあ、お前が悪いよ。




悪いやつには、制裁を下さなねぇとなぁ。




俺は、思いっきりソイツを蹴り飛ばした。




「きゃ………」




リアちゃんには申し訳ないけど、ごめん。




もう耐えらんない。




「おい、てめぇ。リアちゃんに手ぇ出したこと、許さねぇからな。」




「っ……はは、なんで君が怒るのかな。梨愛ちゃんは僕の………、がはっ。」




俺はまた更に急所に蹴りを入れた。




こいつ、脳がねえなぁ。




まだ自分のモノ呼ばわりするか。




てめえみたいな奴は、リアちゃんに相応しくねえって言ってんのが分かんねえのかよ。




「じゃあね、センパイ。」




そう言うと、ソイツは最後にキッと睨み意識を手放した。




さて……どうするかな。




“僕”はリアちゃんの方を見る。




リアちゃんはその場に座り込んでいて、状況が理解出来ていないみたいだった。




「ごめんね、リアちゃ……」




ビクッ。




っ……ショックだけど、無理もないよね。




「リアちゃん、本当にごめん。ただ、耐えられなかったんだ。リアちゃんがコイツと一緒にいるのが。怖い思いさせて……ごめん。」




そう言ってその場を立ち去ろうとすると、後ろからリアちゃんの声がした。




「待って……違う。梨愛、タタにありがとうって言いたいの。」




っ……ああ、こうやってまた君は……僕を愛で縛っていく。




「タタ、ありがとうっ」




「………!!もう、無理………っ」




あの笑顔に耐えられるわけが無い。




僕はリアちゃんの元へ行き、その華奢な体を抱き上げた。




「っ……た、タタっ。こ、これ、お姫さまっ、抱っこ……!!」




かあっと赤くなっていくリアちゃん。




何なのもう、可愛すぎ。




「リアちゃんは、僕のお姫様でしょ?だから、お姫様抱っこ。僕の可愛いプリンセス。」




そう言って、僕はリアちゃんのおでこにキスをした。




「!!!!………タタのバカぁっ。」




リアちゃんは恥ずかしいのか両手で顔を隠している。




「……っ」




あーもう!!ほんとに何なの……危うく唇までしそうになったじゃん……。




僕の世界一可愛いお姫様。




絶対に、離さないーー。


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