8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3
真剣な瞳で告げるオリバーを、チャドは憎らしそうに見つめる。
『お前、もう我のことなど好きではないのだろう? であれば、我がここにいる意味はない』
「チャド! 僕はそんなことは言っていない。君の力にはなりたいって思っているってば」
『だが、もう手伝う気はないのだろう?』
じろりとチャドに睨まれても、オリバーはひるまない。
「君のやり方では。……僕はもう、人を傷つけるようなことはしたくない。だけど、自分のやり方で、君を助けられたらって思っているんだ」
『ふん。なにを……』
チャドは反論しようとして、気まずくなり黙る。オリバーは出会ってからずっと優しい。瀕死状態のチャドに、聖域の水を与えてくれたし、その後も食べ物をくれた。
本来、聖獣に食物は必要ないが、チャドは昔から食べることが好きだ。だから、オリバーのくれたチーズやクッキーもとてもうれしかった。
チャドが黙り込むと、アイラはそこに追い打ちをかけるように言う。
「オリバーに感謝した方がいいわよ。私だったら、もうけちょんけちょんにして追い出しているところだわ!」
「アイラ、黙って。……ねぇ、チャド。僕は君が、悪い聖獣だとは思っていない。あの土地を守りたいって気持ちは、本当だと思う。ただ、チャドのやり方で、本当にみんなを守れるの? いま暮らしている人たちにとって、あそこが安心で、生きるための糧を生み出す土地でなければ、土地を守ったとは言えなくなってしまうんじゃない?」
『……』
チャドは黙ると、ただオリバーを見上げた。迷いを見透かすような、オリバーの眼差しに、ひるんでしまう。
「だから、僕の考えを聞いてくれる?」
『……わかった』
チャドは渋々とそう言うと、寝床に戻り、座った。
『勝手に話していればいい』
* * *
ふたりが、ドルフとリーフェに頼んでベンソン伯爵の領地に来たのは、夜だ。
フィオナには『もう寝る』と告げてあるし、移動中は時間を止めていたので、不在は誰にも気づかれていないはずだ。
『あー重たかった!』
「失礼ね、リーフェ。私そんなに重くないよ!」
リーフェが着くなりアイラを地面に転がしたので、アイラはぷんぷん怒っている。
「ここが、その土地?」
初めて来るアイラは、周囲を見渡した。
『お前、もう我のことなど好きではないのだろう? であれば、我がここにいる意味はない』
「チャド! 僕はそんなことは言っていない。君の力にはなりたいって思っているってば」
『だが、もう手伝う気はないのだろう?』
じろりとチャドに睨まれても、オリバーはひるまない。
「君のやり方では。……僕はもう、人を傷つけるようなことはしたくない。だけど、自分のやり方で、君を助けられたらって思っているんだ」
『ふん。なにを……』
チャドは反論しようとして、気まずくなり黙る。オリバーは出会ってからずっと優しい。瀕死状態のチャドに、聖域の水を与えてくれたし、その後も食べ物をくれた。
本来、聖獣に食物は必要ないが、チャドは昔から食べることが好きだ。だから、オリバーのくれたチーズやクッキーもとてもうれしかった。
チャドが黙り込むと、アイラはそこに追い打ちをかけるように言う。
「オリバーに感謝した方がいいわよ。私だったら、もうけちょんけちょんにして追い出しているところだわ!」
「アイラ、黙って。……ねぇ、チャド。僕は君が、悪い聖獣だとは思っていない。あの土地を守りたいって気持ちは、本当だと思う。ただ、チャドのやり方で、本当にみんなを守れるの? いま暮らしている人たちにとって、あそこが安心で、生きるための糧を生み出す土地でなければ、土地を守ったとは言えなくなってしまうんじゃない?」
『……』
チャドは黙ると、ただオリバーを見上げた。迷いを見透かすような、オリバーの眼差しに、ひるんでしまう。
「だから、僕の考えを聞いてくれる?」
『……わかった』
チャドは渋々とそう言うと、寝床に戻り、座った。
『勝手に話していればいい』
* * *
ふたりが、ドルフとリーフェに頼んでベンソン伯爵の領地に来たのは、夜だ。
フィオナには『もう寝る』と告げてあるし、移動中は時間を止めていたので、不在は誰にも気づかれていないはずだ。
『あー重たかった!』
「失礼ね、リーフェ。私そんなに重くないよ!」
リーフェが着くなりアイラを地面に転がしたので、アイラはぷんぷん怒っている。
「ここが、その土地?」
初めて来るアイラは、周囲を見渡した。