8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3
見ているオリバーにはわからないが、アイラは地面から読み取れる情報をしっかり識別しているようだ。
「うーん。鉄は、……ないなぁ。ほんのわずかに散らばっているのはわかるけど、大量に取ることはできないんじゃないかな」
チャドは少し驚いたようにアイラを見ると、「チュ」と声をあげた。
『おまえ、本当にわかるのだな。……もともと、ここで採掘された鉄は、鉄鉱石ではなく、鉄隕石と言われるものだ』
「隕石?」
『はるか昔の話だ。空から、いくつも隕石が落ちてきたのだ』
「はるか昔ってどのくらい?」
『六百年は前になるな』
「チャドってそんなに昔から生きているの?」
アイラは素直に驚きを示した。チャドは神妙に頷き、『年寄りは大事にするものだぞ』と付け加えた。
『隕石は当時ここにあった国を、あっという間に滅ぼしてしまったのだ。我は地面を揺らす力はあるが、空から降ってくるものに対しては無力だ。なすすべもなく、見ていることしかできなかった』
「あれ?」
その時、アイラはふっと、表情を変えた。
「あれ? チャドがいる」
「え?」
「チャドの魂のかけらが、埋まっている」
驚くアイラとオリバーに、チャドが『静かに』と言う。
「昔、埋めたのだ。この地をこれ以上脅かすことがないよう。結界を張るという意味でな。しかし、時の流れはどうにもならん。先日力を吸い取ってしまったから、今や守りも機能していない」
はるか六百年の時を、チャドは振り返る。
オリバーは、歴史の授業を思い出していた。
六百年前ならば、オズボーン王国はおろか、ボーン帝国もなかったころだ。
おそらく、小国がたくさん群雄割拠していた時代だろう。
「チャドは、ここにあった国を守護していたの?」
『我が守護していたのは国ではない。ここを統べていた女王だ』
「女王……?」
『お前たちの母親……フィオナに少し似ていたな』
オリバーは自分の体から熱を感じた。なんだろうと思うと、ポケットに入れていた石だ。ぼやぼやと熱を発している。なにかを訴えてでもいるように。
『我は、あの子の。……グロリアの亡骸を守りたいだけだ』
「うわっ」
「うーん。鉄は、……ないなぁ。ほんのわずかに散らばっているのはわかるけど、大量に取ることはできないんじゃないかな」
チャドは少し驚いたようにアイラを見ると、「チュ」と声をあげた。
『おまえ、本当にわかるのだな。……もともと、ここで採掘された鉄は、鉄鉱石ではなく、鉄隕石と言われるものだ』
「隕石?」
『はるか昔の話だ。空から、いくつも隕石が落ちてきたのだ』
「はるか昔ってどのくらい?」
『六百年は前になるな』
「チャドってそんなに昔から生きているの?」
アイラは素直に驚きを示した。チャドは神妙に頷き、『年寄りは大事にするものだぞ』と付け加えた。
『隕石は当時ここにあった国を、あっという間に滅ぼしてしまったのだ。我は地面を揺らす力はあるが、空から降ってくるものに対しては無力だ。なすすべもなく、見ていることしかできなかった』
「あれ?」
その時、アイラはふっと、表情を変えた。
「あれ? チャドがいる」
「え?」
「チャドの魂のかけらが、埋まっている」
驚くアイラとオリバーに、チャドが『静かに』と言う。
「昔、埋めたのだ。この地をこれ以上脅かすことがないよう。結界を張るという意味でな。しかし、時の流れはどうにもならん。先日力を吸い取ってしまったから、今や守りも機能していない」
はるか六百年の時を、チャドは振り返る。
オリバーは、歴史の授業を思い出していた。
六百年前ならば、オズボーン王国はおろか、ボーン帝国もなかったころだ。
おそらく、小国がたくさん群雄割拠していた時代だろう。
「チャドは、ここにあった国を守護していたの?」
『我が守護していたのは国ではない。ここを統べていた女王だ』
「女王……?」
『お前たちの母親……フィオナに少し似ていたな』
オリバーは自分の体から熱を感じた。なんだろうと思うと、ポケットに入れていた石だ。ぼやぼやと熱を発している。なにかを訴えてでもいるように。
『我は、あの子の。……グロリアの亡骸を守りたいだけだ』
「うわっ」