8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3
次の瞬間、微弱な地震が起こった。見れば、チャドの体がやんわりと光っている。
再び増幅してしまうことを恐れ、オリバーが止められずにいると、アイラが体重をかけてチャドをつぶした。
「チャド、地震起こしているでしょう! 待ってよ。危ない。あの人たちが怪我したらどうするの?」
『知るか! もう人間などうんざりだ。このまま全員殺してやる。頼む、オリバー。力を貸してくれ』
チャドの声は必死だ。アイラは不安げに、ドルフとリーフェも心配そうにオリバーを見つめる。
しかし、オリバーはゆっくり首を振った。
「チャド。僕は君のやり方には協力できない。採掘を止めるにはほかの手段もある。僕は王太子として正しい選択をしなければならないんだ」
『だが……!』
「前の地震のこと、忘れたわけじゃないでしょう? 僕はもう嫌だ。国民を傷つけるのは。ここを崩したら、何もしていない善良な国民まで巻き込むことになってしまう」
『だがっ』
『王の子の言う通りよ』
オリバーの頭の中に、女性の声がした。見れば、みんなも不思議そうに互いの顔を見合わせている。チャドも驚いたのか、動きを止めきょろきょろのあたりを見回している。
『今の声は……』
「チャド、ちょっとその石を触らせて? オリバー」
アイラが確信を持って石を握りしめる。そしてオリバーの手を握った。
すると、石の上に女性の幻影が浮かび上がった。黒く長い髪を、丁寧に編みこんでいる。くりっとした丸い目は穏やかなだけでなく力も感じさせる。
『グロリア……』
『チャド、力を使っては駄目』
驚いたことに、幻影はチャドに向かって話しかけた。
『おまえ、話せるのか?』
『少しだけ? 残留思念と言えばいいのかしら。あなたがこの土地にかけた守りのおかげで、私の意識は私のかけらと共に残っていたの。チャドにどうしても言いたいことがあって』
『我に……?』
チャドは手を伸ばしグロリアに触ろうとする。が、そこに浮かんでいるのはあくまで幻影で、手に触れることはできなかった。
『あなたがこの土地を守ってくれるのは、私が守護してほしいと願ったからでしょう?』
グロリアの顔が寂しそうにゆがむ。
再び増幅してしまうことを恐れ、オリバーが止められずにいると、アイラが体重をかけてチャドをつぶした。
「チャド、地震起こしているでしょう! 待ってよ。危ない。あの人たちが怪我したらどうするの?」
『知るか! もう人間などうんざりだ。このまま全員殺してやる。頼む、オリバー。力を貸してくれ』
チャドの声は必死だ。アイラは不安げに、ドルフとリーフェも心配そうにオリバーを見つめる。
しかし、オリバーはゆっくり首を振った。
「チャド。僕は君のやり方には協力できない。採掘を止めるにはほかの手段もある。僕は王太子として正しい選択をしなければならないんだ」
『だが……!』
「前の地震のこと、忘れたわけじゃないでしょう? 僕はもう嫌だ。国民を傷つけるのは。ここを崩したら、何もしていない善良な国民まで巻き込むことになってしまう」
『だがっ』
『王の子の言う通りよ』
オリバーの頭の中に、女性の声がした。見れば、みんなも不思議そうに互いの顔を見合わせている。チャドも驚いたのか、動きを止めきょろきょろのあたりを見回している。
『今の声は……』
「チャド、ちょっとその石を触らせて? オリバー」
アイラが確信を持って石を握りしめる。そしてオリバーの手を握った。
すると、石の上に女性の幻影が浮かび上がった。黒く長い髪を、丁寧に編みこんでいる。くりっとした丸い目は穏やかなだけでなく力も感じさせる。
『グロリア……』
『チャド、力を使っては駄目』
驚いたことに、幻影はチャドに向かって話しかけた。
『おまえ、話せるのか?』
『少しだけ? 残留思念と言えばいいのかしら。あなたがこの土地にかけた守りのおかげで、私の意識は私のかけらと共に残っていたの。チャドにどうしても言いたいことがあって』
『我に……?』
チャドは手を伸ばしグロリアに触ろうとする。が、そこに浮かんでいるのはあくまで幻影で、手に触れることはできなかった。
『あなたがこの土地を守ってくれるのは、私が守護してほしいと願ったからでしょう?』
グロリアの顔が寂しそうにゆがむ。