8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3
チャドは少し目を細めた。彼が土地に守りをかけたのは、せめて亡骸だけでも穏やかに休ませたかったからだ。守ると約束したのに、守れなかった。せめてもの贖罪として、自分の人生すべてをかけて、グロリアの眠る土地を平和なまま維持したかった。
『もうね。いいのよ』
『な、なにを言う!』
あっさりと言ったグロリアに、チャドは目を剥いた。
『お前は、この土地が荒らされてもいいというのか? お前の愛した民も、国も、お前の体だって、すべてこの土地に眠っているというのに』
チャドは必死に訴えたが、グロリアは穏やかそうに笑った。
『私の王国が滅びて、もう六百年。守るべき国を失った私には、もうここに縛られる理由もないの』
幻想のグロリアは手を伸ばし、チャドを抱きしめようとする。
『この土地は、今ここに生きる人たちのためのものよ。もちろん、採れない鉄鉱石を捜すために地を掘り返す行為は馬鹿げている。それでも、これは私たちが口を出す問題じゃないの。この国に生きる人々が、答えを見つけるべきことよ』
オリバーはグロリアの言葉に共感できた。チャドの行動に、ずっと持ち続けてきた違和感の正体はそれだ。
チャドはあくまでも失った王国に主眼を置いていて、今を生きる人々は悪いものとして認識している。それが、今の王国に生きるオリバーには納得がいかなかったのだ。
『なぜだ。……我はお前を、守りたくて』
『わかっている。ずっとお礼が言いたかったの。だからずっと機会を待っていたの。話ができるようになるのを』
グロリアは微笑み、アイラとオリバーに語り掛けた。
『ありがとう。王家の子供たち。あなたたちのおかげでチャドと話せた』
「グロリア様は、ずっと見ていたんですか?」
アイラはこの現象を抵抗なくとらえ、グロリアに問いかける。
『ええ。でも私の声は、チャドには届かなかったの。彼は私を心配して、この地を守り続けたし、私は彼を心配して、ここにずっととどまることになった。あのねチャド。私、もういいの。私の守るべき民はもうここにはいないのだもの』
『グロリア』
『もうね。いいのよ』
『な、なにを言う!』
あっさりと言ったグロリアに、チャドは目を剥いた。
『お前は、この土地が荒らされてもいいというのか? お前の愛した民も、国も、お前の体だって、すべてこの土地に眠っているというのに』
チャドは必死に訴えたが、グロリアは穏やかそうに笑った。
『私の王国が滅びて、もう六百年。守るべき国を失った私には、もうここに縛られる理由もないの』
幻想のグロリアは手を伸ばし、チャドを抱きしめようとする。
『この土地は、今ここに生きる人たちのためのものよ。もちろん、採れない鉄鉱石を捜すために地を掘り返す行為は馬鹿げている。それでも、これは私たちが口を出す問題じゃないの。この国に生きる人々が、答えを見つけるべきことよ』
オリバーはグロリアの言葉に共感できた。チャドの行動に、ずっと持ち続けてきた違和感の正体はそれだ。
チャドはあくまでも失った王国に主眼を置いていて、今を生きる人々は悪いものとして認識している。それが、今の王国に生きるオリバーには納得がいかなかったのだ。
『なぜだ。……我はお前を、守りたくて』
『わかっている。ずっとお礼が言いたかったの。だからずっと機会を待っていたの。話ができるようになるのを』
グロリアは微笑み、アイラとオリバーに語り掛けた。
『ありがとう。王家の子供たち。あなたたちのおかげでチャドと話せた』
「グロリア様は、ずっと見ていたんですか?」
アイラはこの現象を抵抗なくとらえ、グロリアに問いかける。
『ええ。でも私の声は、チャドには届かなかったの。彼は私を心配して、この地を守り続けたし、私は彼を心配して、ここにずっととどまることになった。あのねチャド。私、もういいの。私の守るべき民はもうここにはいないのだもの』
『グロリア』