8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3
オリバーとアイラは顔を見合わせ、少し泣いた。ドルフとリーチェが慰めるように傍にいてくれたので、救われたような気持ちになる。
『さあ、帰るぞ』
「うん」
ほかの人間は誰もオリバー達の不在に気づいていなかったようだが、フィオナだけは違った。
「ドルフたちもいなかったから、きっと一緒だろうとは思ったのだけど」
と言いつつ、勝手に出かけたことをしこたま怒られた。
それでも、オリバーはなんだかくすぐったい気持ちになる。愛されているからこそ、叱られるのだ。それが今ならば、よくわかる。
オリバーは手の中の白い石をぎゅっと握りしめ、誓った。この国を、土地を、よりよく生かしていくのだ。それが、王の子として生まれたオリバーにできることだから。