8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3
もうひとりの友人エミリア・ファウラー伯爵令嬢を誘い、頭を突き合わせて四つ葉探しをしていたところに、オリバーと彼の友人であるレナルド・コンロン侯爵子息とエヴァン・イングラム公爵子息が通りかかった。
アイラは当然のように彼らを引き留め、一緒に探してもらうことにしたのである。
「これ、結構腰が痛くなるなぁ」
早々に弱音を吐くのはレナルドである。彼はいわゆるよく吠えるタイプの男で、強気な態度の割には文句が多い。
「レナルド様、もうちょっと頑張ってよ。ほら、エヴァン様なんて文句も言わずに探してくれて……」
言いながら振り向いたアイラは、エヴァンがしゃがみこんだままうとうとしているのを見てしまった。
「もうっ、黙っているかと思えば、寝ていたの?」
「……うわっ。ああ、ごめん。お腹いっぱいになったら眠くなっちゃって」
エヴァンはのほほんと悪気なくほほ笑んだ。アイラはあきれて叫び出したいのをぐっとこらえる。
マーゴットは青い顔のまま、一心不乱に四つ葉を探している。彼女が母親を本気で心配しているのが痛いほど伝わってきて、アイラも胸が痛い。ここで険悪なムードを作ってしまっては、それこそ彼女の心労を増やすことになってしまう。
「おしゃべりしている間に探した方が早いと思うわ、アイラ様」
同じように思ったのか、エミリアがそう提案してくれた。
「そうね! さすがエミリア」
アイラは同意し、再び目の前のクローバーに目をやった。
中庭には、飛び飛びにクローバーの群生地がある。これだけあるのだから、すぐに見つかるだろうと高を括っていたのが間違いだった。
探せど探せど、あるのは三つ葉ばかり。同じものを見すぎたせいか、だんだんと目も滑るようになってきた。エヴァンじゃないけれど眠たくもなってくる。
(でも、マーゴットのために見つけてあげないと)