8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3
「それに、父上もそろそろ母上が不足しているんだろうから?」
オリバーがにやりと笑って見せると、ロジャーも苦笑して頷く。
「相変わらずオスニエル様はフィオナ様にぞっこんですね。……フィオナ様がいらして、この国は随分変わりました」
「そうなの? 僕たちが生まれる前のこと、よかったら教えてよ」
ロジャーが遠い目をして、オリバーにオスニエルの変化を語る。
軍神と言われ、戦いに身を置くことで自分の存在価値を見出してきたオスニエルが、優しく強い子煩悩な父になるまでの、一連の出来事を。
「今の父上が、僕は大好きだなぁ」
その時、廊下側が騒がしくなり、突然に扉が開く。
入って来たのは、アイラと、腕にリーフェを抱えた、現在八歳になる弟のザカリーだ。
「オリバー! ちょっとだけ話があるの!」
「どうしたの、アイラ、ザカリーまで」
「これっ……これっ」
アイラの手には、舞踏会の招待状らしきものがある。
「姉さま、お手紙をもらったんだって」
「キャン」
リーフェはあきれたように尻尾を揺らして、『アイラ、公爵様の息子に一目ぼれしたんだって』と教えてくれる。
「なに? お誘いが来たんならいいじゃない」
「よくないよぉ。ドレス、どうすればいいの? 派手じゃないけど、品格を失わないものなんてある?」
「そういうのは母上に聞けば……」
「今、お父様が来ているから、邪魔できないのぉ」
そうは言いつつ、ドルフがこの場に居ないところを見れば、彼は空気を読まずにふたりの邪魔をしているはずだ。アイラも気にせず行けばいいのだ。
「ちなみに、マーゴットも呼ばれているのよ」
「ぶっ」
オリバーが思わず吹き出すと、アイラはにやりと笑う。