8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3
「リーフェは人を乗せるのが好きじゃないし、危ないから。現場は思ったよりもひどくはなかったよ。建物が一部傾いていたんだけど、もうそこには人も住んでいないみたいだったし、父上が怪我をするようなことはないと思う」
「そうなんだ。よかった……」
アイラはほっとした表情で胸をなでおろした。しかし、すぐに気を取り直し、オリバーの顔の前に指を突き付ける。
「でも、オリバーが怪我をしたら嫌だからね! 危ないことはしないで」
「わかってるよ。ドルフがいたから大丈夫だと思ったんだ」
「ひとりで勝手に決めないでよ。ちゃんと相談して。ね!」
アイラはそう言うと、オリバーの手を取り、ぐいぐいと引っ張って食堂へ向かった。
食堂ではフィオナが待っていた。ふたりの顔を見て、オスニエルは朝一番に出発したと説明し、少し寂しそうに笑う。
食事中も、フィオナはオスニエルが心配なのか言葉数が少なく、アイラの話にぽつりぽつりと相槌を打っているくらいだ。
オリバーはそんな母親の様子を心配しながらも、うまい言葉が思いつかない。やがて出発の時間が迫り、アイラとオリバーは慌てて馬車へと乗り込んだ。