8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3
その影響は母体であるフィオナにもあった。彼女の持つ氷の力は、暴走することが多くなり、たびたび部屋を凍り付かせる。
出産時も部屋が凍り付きそうなほど冷える中、使用人たちも部屋を暖めるために大変な苦労をしていた。
生まれてからは落ち着いたものの、フィオナは出産という大仕事と加護の力の暴走によって体調を崩してしまい、それからしばらく寝たきりの生活を送ることとなってしまったのだ。
「あの時、俺は、フィオナが死んでしまうのではないかと、気が気じゃなかったんだぞ?」
『俺が傍にいて、死なせるはずなどないだろう』
得意げに言うドルフを、オスニエルは白い目で睨む。
「お前に任せておいたら、またフィオナが十七歳の時まで、時間を戻してしまうじゃないか」
聖獣は人に加護を与えるが、自分の意思を覆すことはない。フィオナがどんなに嫌がったとしても、ドルフは自分が必要だと思えば、容赦なく時を戻すだろう。
オスニエルは、今が幸せだ。フィオナを心の底から愛している。彼女が応えてくれたこの人生を巻き戻したくはない。
不満げなオスニエルを見て、ドルフは鼻で笑った。
『そんなことはしない。俺も、オリバーやアイラがいなければつまらないからな』
「なんだ、ドルフ。かわいいことを言うじゃないか」
『お前の血も入っていることは癪だが、あの子たちはいい子だ』
「ひと言余計だ」
オスニエルは、ハハッと笑うと、ベッドに腰を掛けた。代わりに、ドルフはとんと床に降り立つ。
ベッドマットがたわみ、「ん……」とフィオナが身じろぎする。
オスニエルはしばらくフィオナの顔を見ていたが、彼女は再び寝息を立て始めた。
「……フィオナに言うと怒られそうだが、俺は彼女を妊娠させるつもりはなかったんだ。オリバーもアイラもいるし、世継ぎという意味ではもう十分だからな」
『計算してやることやっていたってことだろう? いやらしい奴だ』
ドルフが不快そうに鼻を鳴らし、オスニエルも彼を睨みつけて答える。
出産時も部屋が凍り付きそうなほど冷える中、使用人たちも部屋を暖めるために大変な苦労をしていた。
生まれてからは落ち着いたものの、フィオナは出産という大仕事と加護の力の暴走によって体調を崩してしまい、それからしばらく寝たきりの生活を送ることとなってしまったのだ。
「あの時、俺は、フィオナが死んでしまうのではないかと、気が気じゃなかったんだぞ?」
『俺が傍にいて、死なせるはずなどないだろう』
得意げに言うドルフを、オスニエルは白い目で睨む。
「お前に任せておいたら、またフィオナが十七歳の時まで、時間を戻してしまうじゃないか」
聖獣は人に加護を与えるが、自分の意思を覆すことはない。フィオナがどんなに嫌がったとしても、ドルフは自分が必要だと思えば、容赦なく時を戻すだろう。
オスニエルは、今が幸せだ。フィオナを心の底から愛している。彼女が応えてくれたこの人生を巻き戻したくはない。
不満げなオスニエルを見て、ドルフは鼻で笑った。
『そんなことはしない。俺も、オリバーやアイラがいなければつまらないからな』
「なんだ、ドルフ。かわいいことを言うじゃないか」
『お前の血も入っていることは癪だが、あの子たちはいい子だ』
「ひと言余計だ」
オスニエルは、ハハッと笑うと、ベッドに腰を掛けた。代わりに、ドルフはとんと床に降り立つ。
ベッドマットがたわみ、「ん……」とフィオナが身じろぎする。
オスニエルはしばらくフィオナの顔を見ていたが、彼女は再び寝息を立て始めた。
「……フィオナに言うと怒られそうだが、俺は彼女を妊娠させるつもりはなかったんだ。オリバーもアイラもいるし、世継ぎという意味ではもう十分だからな」
『計算してやることやっていたってことだろう? いやらしい奴だ』
ドルフが不快そうに鼻を鳴らし、オスニエルも彼を睨みつけて答える。