8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3
リーフェは地脈をたどってみた。
たしかに、鉱石が採れるような岩石層は深くない。すぐ下には砂礫の層があるようだ。
『元は、大きな湖のあった土地みたいだね。昔はここも聖域って呼ばれるようなところだったんだと思うよ。何がきっかけかは知らないけど、埋められたのかなぁ。だから固そうに見えて、とっても地盤が弱いみたい』
リーフェが見解を述べると、ドルフは意外そうな顔で二度見した。
『お前、そんな能力もあったのか』
『感じるだけだよ。特に便利な力じゃない。ルーデンブルグの湖を守るために、ずっと周辺の状態を探っていたから慣れているだけ』
『ふうむ。ちなみに、ここに鉄鉱石とやらはあるのか?』
『ううん。ないと思う。前はどうだか知らないけれど、少なくとも今はないよ』
リーフェは荒れた一帯をみやる。湖があった頃は、緑豊かな土地だったのだろう。ルーデンブルグに近しい空気が、奥底に眠っている。
『……ん?』
『なるほどな。チャドはその時代にも生きていたんだろうな。だから、この土地を清浄な状態に戻したいのだろう。……それだけ分かれば十分か』
ドルフはひとり納得し、再び空へと駆けあがる。
『あ、待ってようー!』
慌てて追いかけたリーフェは、先ほど感じたほんのわずかな違和感を、深く考えることはなかった。