8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3

 時を戻し、惨劇をなかったものとしてくれた。ドルフがいなければ、こうしてオスニエルの腕に抱かれることが、二度となかったかもしれないのだ。

「その幸運を自分たちのものだけにしていてはいけないんだ。失敗を力に変え、皆のために役立てる。それが、聖獣の力を得たお前たちが、なすべきことだ。お前が、やり直しても反省しないような人間ならば、俺はお前を後継者から外しただろう。しかしそうじゃないだろう? 自分の行動が、人を殺す結果にもなりえるという事実を肌で実感しているお前は、きっといい王になると俺は思う」
「でも父上」

 オリバーは自信がない。自分が、正しい王になれるのか。目指すべき姿は遠すぎて、自分がたどり着けると思えないのだ。
 不安を感じ取ったのか、オスニエルはオリバーの顔が見えるように抱き直す。
 そして、不安に揺れる彼の瞳をのぞき込んでほほ笑んだ。

「それでも不安なら、思い出してほしい。お前がひとりじゃないことを。王としての責務を、お前ひとりに抱えさせるつもりはない。この父が、前を歩いて道をつくろう。王となって抱えねばならない罪は、俺が一緒に抱えていこう」
「父上」
「お前が自分を見失いそうになる時は、フィオナやアイラを頼るといい。ふたりとも、お前のことをお前自身より愛している。お前の価値を、必ず思い出させてくれるはずだ」

 フィオナの心配そうな瞳を思い出し、オリバーの胸がチクリと痛んだ。そして、半泣きになっていたアイラのことも。
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