8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3
「……マーゴット?」
アイラの友達のマーゴットだ。うつむいたまま、おずおずとクローバーを封じ込めたしおりを差し出した。
「四つ葉……?」
「お、おととい、一生懸命探したの。エミリアも手伝ってくれて」
「僕に?」
「前にオリバー様が、四つ葉のクローバーを見つけてくれたて、私、すごくうれしかったから。おかげで、お母様は少し良くなってきたの。この間面会もできたわ。だから。……その、オリバー様も元気になるかと思って」
差し出す手が、わずかに震えている。彼女がいじらしくかわいらしく思えて、オリバーは微笑んだ。
「ありがとう。マーゴット」
受け取ると、彼女はぱっと顔を赤らめた。
自分だけのなにかは、いつか見つかるかもしれない。ただ今がその時じゃないというだけだ。
「あらあら~」
あとから馬車から降りたアイラが、なぜかニマニマしている。
「あ、アイラ様、おはようございます」
「おはよう、マーゴット。あ、私、宿題の忘れていたところ思い出したから、先に行くわね!」
アイラが淑女にはあるまじき動きで走り出す。
あっけに取られて見送ったオリバーとマーゴットは、顔を見合わせて笑った。
「僕たちも遅れちゃうね。行こう」
「は、はい!」
オリバーは、マーゴットの歩調に合わせて、ゆっくりと教室までの道を歩いた。