悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました【2】
蜜月編《エスター視点》
「エスターさん、古城に来るのは久しぶりだね」
「ドミニコラさん、お元気そうでなによりです。古城の皆さんはお変わりありませんか?」
「ああ、エスターさんと会いたがっている者ばかりだよ。あとで挨拶をしてまわったらどうだい?」
婚約者となってから三ヶ月ほど王都で暮らした後、正式な王妃に迎え入れられて二週間経った頃。
今日は、様々な公務を終えてやっとひと息ついたので、古城の人達に挨拶にやって来た。
出迎えてくれたドミニコラさんは相変わらずログハウスの薬室にこもっているようで、一緒に仕事をしていた時期が懐かしい。
「主はどう? 体調を崩していないかい?」
「ラシルヴィスト様も元気ですよ。今日はお仕事で古城に来られなかったんです」
「モンペリエ国とのいざこざが落ち着いたとはいえ、エピナント国ではまだ悪い噂を耳にするからね。主も大変だ」
ラシルヴィスト様は、最近は地方への視察が多く、エピナント国全域の整備に尽力している。
まだまだ治安が良くないところや、貧しい農村があるのが現状だ。
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