悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました【2】
真っ暗な視界の中で、男性のうめき声が聞こえた。痛みを覚悟したものの襲ってくる気配がない。
恐る恐る目を開けた先に、青くはためくマントが見えた。騎士団の腕章のついた腕が、男性に向かって剣を向けている。
黒い髪に猫耳を揺らす凛々しい男性が、双子を守るように立っていた。
その背中は大きくて、キラキラと輝いて見える。
「やっと見つけたぞ。お前が逃亡していた主犯だな」
低く威嚇した騎士の彼は、一切無駄のない動きで男性を地面に押し倒して手首を縄で縛る。
圧倒的な力の差でマウントを取られた男性は、すっかり戦意をなくして突っ伏していた。
まばたきをする間に形勢逆転だ。
ヴォレンスはこの場に現れた救世主に頬を赤く染めて憧れの眼差しを向ける。
「おーい、レンテオ!」
森の奥からドミニコラが手を振りながら駆けてきた。その後ろにはラシルヴィストの姿もある。
レンテオと呼ばれた騎士は、男性の上に座ったまま笑顔で答えた。