悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました【2】
「ふぁぁん! えーん……っ、あぁぁ……っ」
声を上げて泣く双子は、頬をピンク色に染めてひたすら涙を流している。
ドミニコラとレンテオは「あちゃぁ……」と目配せをした。
ラシルヴィストはまつ毛を伏せて少しの間彼らを見つめていたが、肩と脇にひとりずつ抱き上げて古城へと歩きだす。
レンテオはそんな獣の親子を見ながら苦笑した。
「双子の王子くん、怖いパパに叱られてギャン泣きですね」
「ええ。あの泣きだす前の間で、こちらまで心がキュッとなります」
背中を眺めるドミニコラは穏やかな表情でつぶやく。
「最恐陛下も、息子達の前ではただの父親ですね」
「ははっ、たしかに。ああ見えて、王都では尻尾であやしているのをよく見ますよ」
そう言って笑顔で腕を組んだレンテオに、ドミニコラも口角を上げた。
そして忠臣のふたりと騎士達は、獣の親子を微笑ましく眺めて古城への帰路についたのである。