悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました【2】
「あの、ひとつ聞きたいことがあって」
「なに?」
「その……獣人は夫婦になったら気持ちが落ちつくとか……あるん、ですか?」
ぎこちない問いに彼はまばたきを数回した。
「まぁ、気持ちは落ち着くんじゃないか? 恋人よりも安定した関係になるわけだから」
「好きって気持ちも落ち着くの?」
「それは人それぞれかな。相手を幸せにする覚悟を決めて気持ちが強くなる場合もあるだろ?」
なるほど。確かに、私も日々ラシルヴィスト様への気持ちが大きくなっていく。
声を聞くたびに好きだなと感じるし、抱きしめてもらえるとほっとする。
ラシルヴィスト様はどうなんだろう。
仕草から大事にされているのは伝わるが、愛を告白されることはないし、軽々しい愛ではないとわかるからこそ甘えられない。
レンテオさんは、机に広げられたヴォルランの本から悩みがあると察したようだが、プライベートな話に踏み込むことはなかった。