幼馴染は分からない【完】
放課後になっても、引きずってしまうさっきの笑顔。
『れん』って呼ぶのは、幼馴染の私だけだったのに。
そんな独占欲がぐるぐる心の中で渦を巻く。
嫌われている私はそんなこと思う資格なんてないのに。
「お、つむぎちゃん!今から帰るの?」
下駄箱のところで、自分の靴とスリッパを履き替えているときに、宇野くんに声をかけられる。
「あ、宇野くん。うん、先生の雑用で残ってたんだ。」
「そうなんだ!一緒に帰らね?送って行くよ」
「うん、ありがと!」
そう言って、二人で学校を出る。
たしか宇野くんの家は、私とは同じ方向だったけど、私の家をさらに過ぎた場所にあったはず。
「宇野くんは何で残ってたの?」
「んー、呼び出し?髪色直せーって」
そう言って反省してない様子で笑う宇野くん。
たしかに髪色、かなり明るいもんね。似合ってくからすごくいいと思うけど。