幼馴染は分からない【完】
「つむぎ。」
その声に振り向くと、れんがいた。
何年振りかに呼ばれた名前に、心臓が止まりそうになる。
「なんだー彼氏持ちかよー」
そう言って、男の人は去っていった。
はぁ、よかった。
一気に力が抜ける。
「れ、れん、ありがとう。」
安心してまた涙が出てきそうになる。
「そんな格好で歩くな。(嫉妬で狂いそう)」
そう言ってれんのパーカーが頭に被せられる。
れんの香りに包まれて、胸が鳴った。
慌てて頭からパーカーを取って、れんをみるとまた不機嫌そうな顔をしていた。
「ごめ、」
無意識に謝罪の言葉が出る。
「そんな格好して、他の男にチヤホヤされたかったんだろ。」
どこか怒りを含んだような目。
他の男の人なんてどうでもいいのに。