幼馴染は分からない【完】
「え、」
幻聴かな。
でもれんの顔は、真っ赤だった。
「お前見てるとイライラすんだよ。」
氷点下の視線が刺さる。
やっぱり聞き間違いだったんだ。
「やっぱり、きら、」
「俺以外の男にニコニコ笑って、泣き顔見せて、キスされそうな距離でも平然としてて、なんなの?」
イラついた様子で、自分の髪を荒々しく触るれん。
その苦しそうな表情に胸が締め付けられる。
「れ、ん、」
「なんで、俺ばっかり。」
れんが何を考えているかはわからないけど、余裕がないっていうのは分かる。
「どういうこと?」
俺ばっかりって、何?
もしかして、私れんに何か悩みを与えてるのかな。
「お前が他の男の眼中に入ってるだけでも腹立つんだよ、だからずっとイライラしてた。」
どうして、私のことでそんなにイライラするんだろう。
嫌いな人には、そんな感情にならないよね?