幼馴染は分からない【完】
私とれんは同じ高校どころかクラスも一緒。
でも引っ込み思案で友達の少ない私と社交的でかっこいいれんとでは、ほとんど絡むことはない。
幼馴染ってゆう関係を知っているのも私の親友のあこちゃんだけだと思う。
ガラッ
重い足取りのまま扉をあけて教室に入る。
れんの席の周りには男女問わずたくさんの人が集まっていて、もちろん私なんかとは目も合わない。
最後にあんなにキラキラしている笑顔は私に向けられたのはいつだろう。この悲しい気持ちは毎日のこと。
そんなことを思いながら胸が締め付けられる感情を抑えて、とりあえず自分の席に着く。
「よし、」
深呼吸をしてお弁当を手に持って人が集まるれんのところへ行く。
教室で話しかけるなんて何年ぶりだろう。
「よ、横山くんっ」
私のその声に周りにいたみんなの声がピタッと止まり、視線が私に集まる。
震える体をなんとか抑えながら、れんの方に視線を向ける。