幼馴染は分からない【完】
「俺にこんな可愛い幼馴染いたらあんな態度取らないのにな」
ジッと見つめられる目を逸らす。
「れ、横山くんから嫌われてるから…」
自分で言っておきながら、痛いほどに胸が苦しくなる。
「横山ってみんなの前では王子様なのに、あんな低い声、意外だったなあ」
そうだよね、みんなからしたら意外だと思う。普段のれんを変えてしまうほど、私が嫌われているだけ。
「きっと、何か嫌われること無意識でしちゃってるんだと思う…。」
ああ、話しててまた悲しくなってきた。
「なんかつむぎちゃん可愛いね。連絡先教えてよ!」
グイッと顔を近づけて聞いてくる宇野くんに退く。
「え、と」
耐性がない私がこんな距離で話すなんて、恥ずかしすぎてどうしたらいいか分からない。
もたもたしていると、ブレザーのポケットに入れてあった私のスマホをひょいっと取り出して、勝手に連絡先を登録し始める宇野くん。
「はい、これで完了〜!」
得意げに笑う宇野くんが面白くて、少し元気を貰えた。