あなたじゃないと意味がない
|1.出会い


5年の約束!絶対戻るから、ここを出る!
と、母と約束し田舎町から都内の病院へ就職を決めた。
詩草は希望通りの部署、ICUへの配属となった。

これからの生活に少し不安もあるけれど、何よりも都会での一人暮らしににやけがとまらず、病院へ行く足取りも軽やかだ。

初勤務日。
まだ何もできない私は、先輩の後をつけながら手伝う。
こんなにも忙しいものなのか...こんなにテキパキ働けるのか...。という思いが頭をよぎったが、次々とやらなければならない事が押し寄せてくる。

真田さん〜!今から処置をするけど見学する?
と先輩が声を掛けてくれた。
私は、声のする方を振向き返事をした。

え.....っと。なんだこの人、オーラが違う。
一瞬で心が奪われた。
まじまじと見てはいけないのは知っているが、どうしても目を離す事が出来なかった。
周りの世界がその人だけを除いて、全てモノクロの世界に見えた。



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